アートのひみつ!

見慣れた海の先に広がる世界を見つめる三羽の鳥は、夜空の星座や遠い時間の向こうに生まれた神話や遺跡(いせき)ともつながっているよ。

見慣れた海の先に広がる世界を見つめる三羽の鳥は、夜空の星座や遠い時間の向こうに生まれた神話や遺跡(いせき)ともつながっているよ。

Q1. この3体の像に名前をつけるとしたら?

久保さん:青磁色の像は「ヤマドリ」、黄色は「ソラドリ」、青色は「ウミドリ」です。覚えやすい名前にしました。

Q2. どうして冬の星座「オリオン座」を選んだのですか?

最初にこの場所を見たとき、広い丘おかに3体の像が並ぶイメージが浮うかびました。私は昔から、世界の神話に出てくる「三人の神さま」に興味がありました。
久保さん:調べていくうちに、日本神話でも海を守る三人の神さまが、オリオン座の三つ星と結びつけられていることを知りました。
昔の船乗りたちは、夜の海でオリオン座の三つ星を目印にして航海していました。三つ星はまっすぐ並んで動くので、方向や時間を知る手がかりになったのです。
船をつくる町にぴったりだと思い、《ORION STARS》という名前にしました。

Q3. 船をつくるドックの風景から、ひらめきを受けましたか?

久保さん:はい。今回は特に、この場所の風景から大きな影響えいきょうを受けました。
呉くれや福山などの工場地帯は、子どものころから見てきた、なじみのある景色です。関東へ引っ越こしてからは見る機会が減ったので、懐なつかしい気持ちになりました。
また、大きなクレーンを使いながら巨大きょだいな船をつくる職人さんたちを見ると、とてもすごいと思います。長い時間をかけてものを作る姿に、強く心を動かされました。

Q4. この地域の子どもたちへ伝えたいことはありますか?

久保さん:世界へ向かう船を近くで見ながら育つ子どもたちは、海の向こうを想像する力が育つと思います。
瀬戸内せとうちには、山、海、島々があり、とても特別な風景があります。私も日本や海外のいろいろな場所を訪れて、その良さを改めて感じました。
子どもたちにも、自分の故郷を大切にしながら、広い世界へ羽ばたいてほしいと思っています。

Q5. なぜタイルを使ったのですか?

久保さん:私は、昔から世界中で作られてきた表現に興味があります。モザイクタイルもその一つで、2000年前の遺跡いせきで見た作品に感動し、いつか自分でも作ってみたいと思っていました。
今回は、色を塗ぬるのではなく、素材そのものの色を生かした作品を作りたいと考え、外壁がいへき用のタイルを選びました。
小さなタイルを一枚ずつ割って貼はる作業は、とても時間がかかりました。特に曲がった部分は難しく、高い集中力が必要でした。
でも、そのぶん他の素材にはない美しさが生まれました。タイルは長い時間がたっても色あせにくいので、この作品も長くこの場所を見守ってくれると思います。

インタビュアー

椿 玲子

森美術館キュレーター